コミュニティ 2025年12月27日 読了時間: 7分

うちのベランダは、なぜ「虫」が来ないの?

uno mao
uno mao
株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
食べることは、生きること。
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
Instagram:https://www.instagram.com/______iiii__/
うちのベランダは、なぜ「虫」が来ないの?

都会の“便利さ”と、小さな“さみしさ”の秘密

「今年は、ベランダで家庭菜園をはじめよう!」 プランターに土を入れ、ミニトマトの苗を植えて、毎日のお水やり。 小さな黄色い花が咲いたときには、家族で「やったー!」と喜びましたよね。

でも、ワクワクしながら観察しているうちに、ふと気づきませんか?


「あれ…? ちょうちょやミツバチが、全然飛んでこないな」

「アブラムシとかがつかないのは、正直ラクでいいんだけど…」

「でも、もしかして、虫が来ないから、花は咲いても実がならないのかな…?」


この、「虫が来ない便利さ」と、「実がならないかもしれない、さみしさ」。 一見、反対に見えるこの気持ちは、実は深くつながっています。

これは、私たちの「都会の暮らし」と、「自然との距離」について考える、ちょっぴり不思議な〈社会科見学〉です。

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「虫さん」のキモチになって、空を飛んでみよう

この謎を解くために、私たちが小さなミツバチになったと想像して、ベランダを目指してみましょう。 虫さんたちが、私たちのベランダに「遊びに来ない」のには、ちゃんと理由があります。


1. 理由①:「おうちに、たどり着けない!」(物理的な距離)

  • 私たちが住むマンションの高層階。ミツバチや蝶々にとっては、そこはもう「雲の上」の世界かもしれません。
  • 彼らも、飛べる高さや距離には限界があります。もし周りがコンクリートやアスファルトばかりで、途中でひと休みできる「緑の中継地点(公園や街路樹)」がなかったら…。
  • わざわざ危険をおかして、ベランダまでたどり着くのは、とっても大変な冒険なんです。

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2. 理由②:「レストランが、閉まっている!」(エサがない)

  • そもそも、彼らがベランダに来る「目的」は、何でしょう?
  • それは、お花の「蜜(みつ)」や「花粉(かふん)」という、“ごちそう”のため。
  • もし、ベランダにプランターのミニトマトしか咲いていなかったら…彼らにとっては、魅力的な「レストラン」には見えないかもしれません。
  • 都会は、彼らが大好きな「蜜源(みつげん)」となる花が少ないので、わざわざ飛んでくる理由そのものが見つけにくいんですね。

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「虫が来ない」と、何が困るの?

「虫が来ないのは、やっぱり快適!」 そう思うかもしれません。でも、もし私たちが「実」を食べたいなら、話は別。

「虫が来ない」ということは、「受粉(じゅふん)のお手伝いさんが、来てくれない」ということなんです。

植物は、「おしべ」の花粉が「めしべ」にくっつく「受粉」という作業をしないと、「実」をつけることができません。 自然界では、ミツバチや蝶々たちが、花から花へと蜜を求めて飛び回ることで、この大切なお手伝いを「無料」でやってくれています。


  • 「自分たちでOK!」な野菜もいる ミニトマトやナス、ピーマンなどは、とっても優秀。風が吹いたり、花が揺れたりするだけで、自分たちで受粉ができることが多いです。(だから、ベランダでも実がなりやすいんです!)
  • 「お手伝いが、絶対に必要!」な野菜もいる でも、キュウリ、カボチャ、メロン、イチゴなどは、「おしべの花(雄花)」と「めしべの花(雌花)」が別々に咲くので、虫さんたちが花粉を運んでくれなければ、ほぼ100%、実がなりません。


「虫が来ない便利さ」と、「実がならないさみしさ」は、ここで、はっきりとつながってしまうんですね。


今日から気軽にできるポイント

「じゃあ、実を食べるのは諦めるしかないの?」 「虫を呼んだら、今度は苦手な虫も来ちゃいそう…」

大丈夫! 怖い虫を無理に呼ぶ必要はありません。 まずは「知る」こと、そして「私たち自身が、小さなお手伝いさんになる」ことから始めてみませんか?


ポイント①:「人工授粉」のお手伝いさんになろう!

  • これぞ、最高の科学実験! ミツバチさんの代わりに、私たちが「命をつなぐ」お手伝いをします。
  • キュウリやカボチャの花が咲いたら、綿棒や、絵筆の先のような柔らかいもので、おしべの花(雄花)の真ん中をそーっと触って、花粉をつけます。
  • その花粉を、めしべの花(雌花・根元がぷっくり膨らんでる方)の真ん中に、優しくチョンチョン、とつけてあげる。
  • 「受粉、成功!」となれば、数日後に根元のふくらみが、ぐんぐん大きくなってきます。親子で「大きくなーれ!」と見守る時間は、宝物になりますよ。


ポイント②:小さな「虫さんレストラン」を開店してみる

  • ベランダの片隅に、一鉢だけでいいので、「虫さんが好きな花」を置いてみませんか?
  • ラベンダー、ミント、マリーゴールド、アブラナ科の野菜(小松菜の花など)。香りが良くて、ミツバチやアゲハ蝶が好きな花です。
  • 「レストラン開店!」と親子で宣言してみる。本当に来てくれるかどうかは、お楽しみ。でも、ベランダに彩りが増えるだけでも、なんだか嬉しくなりますよね。

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ポイント③:「来ない」のではなく「観察」してみる

  • 蝶々は来なくても、土の中にはちゃんと命が息づいています。
  • プランターの土をよーく見ると、ダンゴムシや、小さなアリ、ミミズ(土をフカフカにしてくれるヒーローです!)が見つかるかも。
  • 「虫が来ない」ベランダだからこそ、土の中の「小さな住人」たちを、安心してじっくり観察できる。そう考えてみるのも、楽しいですよ。


私たちのベランダは、どこにつながっている?

都会のベランダは、便利で、快適で、安全です。 でもそれは、もしかしたら、大きな自然のサイクルから、少しだけ「切り離された」場所だから、なのかもしれません。

虫が来ないことを、「良い・悪い」で判断する必要はありません。

ただ、「ああ、私たちの毎日のごはんは、あの小さな虫さんたちのお手伝いが無いと、成り立たないんだなあ」と知ること。 そして、その「つながり」を、綿棒一本、ハーブ一鉢から、自分たちの手で、そっと作り直してみること。

それこそが、都会で暮らす私たちができる、いちばん楽しくて、いちばん大切な「自然との付き合い方」なのかもしれませんね。


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