コミュニティ 2025年10月29日 読了時間: 6分

朝早くから開いてる市場(いちば)は、何をやっているの?

uno mao
uno mao
株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
朝早くから開いてる市場(いちば)は、何をやっているの?

私たちが眠る街で、「おいしい」を運ぶ人たちの秘密の時間。しーんと静かな、夜中の3時。私たちはみんな、あたたかいお布団の中で、ぐっすり夢を見ています。

でも、その頃。

街のひとつの場所だけ、まるで真昼間のように電気がついて、たくさんの人たちが忙しく働いていることを知っていますか?


それが「市場(いちば)」です。


「どうして、そんなに朝早く(というより夜中?)から起きているの?」

「私たちが寝ている間に、一体何をしているんだろう?」

それは、私たちの毎日の「おいしい!」を守るための、とっても大切なお仕事の時間。


今回は、眠っている街を支える「市場の秘密」を、一緒に〈社会科見見〉してみましょう。

画像


<市場が「早起き」な、たった一つの理由>

市場がどうしてあんなに早起きなのか。

その理由は、実はとってもシンプルです。

それは、「私たちがお買い物に行く時間までに、新鮮な食べ物を届けるため」。市場は、いわば「食べ物のリレー」のいちばん最初の走者(ランナー)なんです。このリレーが、どんな順番で行われているか、時間を追って見てみましょう。


  • ① 深夜 0時〜3時:【あつまる】
  • 日本中(時には世界中)の畑や漁港から、野菜、果物、お魚などを積んだ大きなトラックが、市場にぞくぞくと到着します。
  • ② 夜明け前 3時〜5時:【ならべる】
  • 運ばれてきた食べ物を、プロの人たちが素早くチェック。「これは形がいいね」「これは新鮮だ」と、品質や大きさごとに仕分けして、オークション(競り)の会場にきれいに並べていきます。
  • ③ あさ 5時〜7時:【きまる】(ここがクライマックス!)
  • いよいよ「競り(せり)」のスタート!
  • 「このマグロ、買いたい人〜!」「はい!」「はい!」
  • スーパーや八百屋さん、お寿司屋さんなど、「買いたいプロ」たちが集まって、活気あふれる掛け声とともに、どんどん値段が決まっていきます。
  • (※「キャベツが100円の日と300円の日がある」のは、この「競り」で値段が決まるからなんです!)
  • ④ あさ 7時〜9時:【はこぶ】
  • 競りで買った品物を、プロの人たちが急いで自分たちのトラックに積み込み、お店へと出発します。
  • ⑤ あさ 9時〜10時:【とどく】
  • スーパーや八百屋さんが開店する頃、さっき市場で競り落とされたばかりの、ピカピカの新鮮な食べ物がお店に到着!

そう。私たちが朝、お店で出会う「採れたて」や「獲れたて」は、私たちが眠っている間に、こんなにたくさんの人たちがリレーをして届けてくれたものだったんですね。


<市場は「新鮮さ」と「値段」の心臓(しんぞう)>

市場は、ただ食べ物を集めて配るだけの場所ではありません。

私たちにとって大切な、2つの役割を持っています。


1. 「新鮮さ」の心臓

市場が真夜中に動くことで、食べ物が畑や海から私たちの口に入るまでの時間が、ぎゅーっと短くなります。市場は、街中に「新鮮な血液(=食べ物)」を送り出す、大きな心臓(しんぞう)のような役割をしているんです。


2. 「値段」の心臓

「競り」があることで、その日の野菜やお魚の「公正な値段」が決まります。天気が良くて豊作なら安くなり、台風の後で不作なら高くなる。市場は、日本中の「今」を映し出す、大きな鏡でもあるんです。


<今日から気軽にできるポイント>

「夜中の3時には行けないよ〜」という私たちも、市場の頑張りを身近に感じる、楽しいポイントがあります。


ポイント①:開店すぐの「トレジャーハント」

  • いつもより少しだけ早く、スーパーの開店時間に合わせて行ってみませんか?
  • 「あ、今、市場から届いたばかりのトラックかも!」「見て、お魚がピカピカしてる!」
  • 開店すぐのお店は、まさに市場から届いたばかりの「宝物(トレジャー)」がいっぱい。その新鮮さを、親子で探検(ハント)してみましょう。


  • ポイント②:「どこから来たの?」クイズ
  • 野菜やお魚のパックに貼ってある「産地(さんち)」のシールを見てみましょう。
  • 「このお魚、北海道から来たって。夜中のうちに市場まで、どうやって旅してきたんだろうね?」
  • 地図を見ながら、その食べ物が旅してきた「物語」を想像するだけで、いつもの食材が特別なものに見えてきます。


 ポイント③:朝ごはんの「ありがとう」を、もう一人に

  • ごはんを食べる時、「農家さん、ありがとう」に加えて、もう一言。
  • 「市場の人、朝早くから運んでくれて、ありがとう!」
  • 私たちが眠っている間に頑張ってくれた、目には見えない「リレーの走者」たちにも、心の中で「ごちそうさま」を伝えてみませんか。


<あなたの「いただきます」が、リレーのゴール>

市場という場所は、私たちの「当たり前の毎日」を、真夜中から支えてくれている大きなエンジンです。

次にあなたが朝、スーパーで新鮮な野菜を手に取ったら、それはたくさんの人たちが繋いだ「バトン」そのもの。

そして、あなたの家の食卓で「いただきます!」と声がした瞬間が、その長い長いリレーの、いちばん嬉しいゴールなんです。

画像


シェア:

関連記事

卵の「平飼い」は、なぜ値段が高いの?
コミュニティ 2025.11.29

卵の「平飼い」は、なぜ値段が高いの?

ニワトリさんの“お部屋代”と、私たちの「選ぶ」キモチ。スーパーの卵売り場。ずらりと並んだ、たくさんの卵パック。特売の安い卵もあれば、栄養価をうたった卵もあります...

続きを読む →
「無添加」を選べば、本当に安全なの?スーパーの”正解探し”に疲れたときの、親子のための“ほどよい選択” のヒント
コミュニティ 2025.11.29

「無添加」を選べば、本当に安全なの?スーパーの”正解探し”に疲れたときの、親子のための“ほどよい選択” のヒント

スーパーの棚に並ぶ、「無添加」「保存料不使用」「着色料フリー」という文字。子どもの口に入るものだから、できるだけ安全なものを選びたい。そう思って手を伸ばすけれど...

続きを読む →
なぜキャベツは “100円の日と300円の日”があるの?
コミュニティ 2025.11.26

なぜキャベツは “100円の日と300円の日”があるの?

値札の裏側にある、お天気と経済の「なぜ?」「あれっ、キャベツ、高っ!」スーパーの野菜売り場で、思わず声が出てしまった経験はありませんか?先週はまるごと一玉98円...

続きを読む →

Official LINE

公式LINEで最新情報をGET!

持続可能な食と農の最新情報・イベント案内・限定特典などをお届けしています。 友だち追加して、PARKの最新ニュースをいち早く受け取りましょう。

友だち追加する