コミュニティ 2025年11月19日 読了時間: 6分

なぜ「くるみ」はアレルギー表示の“仲間入り”をしたの?

uno mao
uno mao
株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
なぜ「くるみ」はアレルギー表示の“仲間入り”をしたの?

増え続ける表示と、親子で読む「安全の地図」


スーパーでお菓子やパンを手に取ると、必ず目にする「アレルギー表示」。

えび、かに、小麦、卵、乳、落花生…。

見慣れた顔ぶれの中に、最近、新しい仲間が加わったことにお気づきですか?


そう、「くるみ」です。


「あれ、くるみって前から気をつけるものじゃなかった?」

「どうして今、わざわざ仲間入りしたんだろう?」

「もしかして、昔より危険になったってこと…?」


そんな「?」が頭に浮かぶかもしれません。


表示が増えることは、なんだかルールが厳しくなって、食べるものが減ってしまうような、ちょっと息苦しい気持ちにもなりますよね。

でも、これは怖いニュースではなく、「私たちの安全マップが、新しく更新されたよ!」という大切なお知らせなんです。

今回は、この「くるみ」の仲間入りをテーマに、アレルギー表示の裏側を、一緒に〈社会科見学〉してみましょう。


アレルギー表示には、「2種類」あるって知ってた?

この謎を解くために、まずはアレルギー表示の「仕組み」から見てみましょう。

実は、あの表示には「必ず書かなければいけない仲間」と、「できるだけ書いてね、とお願いされている仲間」の2種類があるんです。


1. 特定原材料(とくていげんざいりょう):「必ず書く」仲間(義務)

  • 特徴: アレルギーを引き起こす例がとても多いか、症状がとても重くなりやすい、特に注意が必要なトップランナーたち。
  • 仲間(8品目): えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
  • ルール: 1つでも使っていたら、必ず表示しないと法律違反になります。


2. 特定原材料に準ずるもの:「できるだけ書く」仲間(推奨)

  • 特徴: アレルギーの例が、ある程度の数(増えてきているもの)が確認されている仲間たち。
  • 仲間(20品目): アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
  • ルール: 法律上の義務ではありませんが、「できるだけ表示してくださいね」と国がお願い(推奨)しています。


この2つのリストは、ずっと同じではありません。

お医者さんや科学者の皆さんが、「今、どんなアレルギーが増えているかな?」「重い症状の報告はないかな?」と、日本中の様子をずーっと見守ってくれています。

そして、「このアレルギー、最近すごく増えてきたから、もっとみんなに知らせた方がいいね!」となると、リストの見直し(アップデート)が行われるのです。


「くるみ」が“昇格”した、その理由

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もう、お分かりかもしれませんね。

「くるみ」が今回仲間入りしたのは、「できるだけ書く」仲間(推奨)から、「必ず書く」仲間(義務)へと“昇格”したからなんです。

(2023年にルールが変わり、2025年の3月までが、新しい表示に切り替えるための準備期間になっています)


なぜ、昇格したのでしょうか?


理由はとてもシンプルで、「くるみ」によるアレルギーの報告が、日本でとても増えてきたからです。

ここ数年の調査で、「くるみ」は、木の実類の中で、アレルギーの原因として最も多いという結果が出ています。

パンやお菓子、ドレッシングなど、私たちが口にする機会が増えたことも関係しているかもしれません。

つまり、「くるみ」が急に危険な食べ物になったわけではありません。

「くるみを食べる機会が増え、それに伴ってアレルギーになる人も増えてきた。だから、みんながもっと分かりやすいように、安全マップの目印を大きくしましょう!」

これが、今回の“仲間入り”の真相なんです。

私たちの食生活の変化に合わせて、安全のルールも一緒に成長しているんですね。


今日から気軽にできるポイント


ルールが変わったからといって、怖がる必要はまったくありません。

大切なのは、新しい「安全マップ」を上手に使うこと。今日から気軽にできるポイントをご紹介します。


ポイント①:親子で「わが家の安全マップ」を作ろう

  • 「必ず書く」仲間になった、新しい「8品目」のリストを、親子で紙に書き出してみましょう。
  • えびやカニ、くるみ、卵など、かわいいイラストを描き加えると、楽しい「安全マップ」になります。冷蔵庫など、目につく場所に貼っておくのもいいですね。


ポイント②:「裏のラベル探検隊」で仲間を探せ!

  • スーパーでお菓子を買うとき、親子で「裏のラベル」を見てみましょう。
  • 「あ、ここに『小麦』と『卵』がいた!」「こっちのお菓子には『くるみ』って書いてあるね」と、探検ゲームのように楽しんでみてください。ラベルを読む習慣が、自然と身につきます。


ポイント③:「おすそ分け」の時の、やさしい合言葉

  • 一番気をつけたいのが、お友達との「おすそ分け」です。
  • 手作りのお菓子や、袋から出してしまったお菓子をあげる時は、「これ、くるみ入ってる(かも)?」と一言そえる習慣を。
  • もらう時も、「ありがとう!これ、なに入ってる?」と聞けるようになると、お互いを守る素敵なコミュニケーションになりますよ。


「知っている」が、いちばんの安心

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アレルギー表示のリストが変わることは、私たちの暮らしが不便になることではありません。

それは、「みんながもっと安心して『おいしい』を楽しむために、社会が頑張ってくれている証拠」なんです。

「これはダメ!」と禁止するのではなく、「ここには、こういう仲間がいるよ」と知っておくこと。

その「知っている」という小さな知識が、私たち家族の食卓を守る、いちばん大きくて温かい「お守り」になってくれます。

これからも、新しい発見を楽しみながら、安全の地図を一緒に読み解いていきましょうね。


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