コミュニティ 2025年11月26日 読了時間: 6分

なぜキャベツは “100円の日と300円の日”があるの?

uno mao
uno mao
株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
なぜキャベツは “100円の日と300円の日”があるの?

値札の裏側にある、お天気と経済の「なぜ?」


「あれっ、キャベツ、高っ!」

スーパーの野菜売り場で、思わず声が出てしまった経験はありませんか?

先週はまるごと一玉98円だったのに、今日はなんだか小さめなのに298円…。


「もしかして、私、買うタイミング間違えちゃった?」

「今夜はお好み焼きにしようと思ったのに、どうしよう…」

お給料日は変わらないのに、野菜の値段だけがジェットコースターみたいに変わる。


家計をやりくりする私たちにとって、これは本当に悩ましい問題ですよね。

でも、この「値段の差」は、実は日本のどこかで起きている「ある出来事」を、私たちに教えてくれるサインなんです。

今回は、家計を悩ませるこの問題を、親子で楽しむ「経済」の〈社会科見学〉に変えてみましょう。

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値段は「誰」が「どうやって」決めているの?

この謎を解くために、まずは「野菜の値段の決まり方」を見ていきましょう。

「キャベツが298円」と決めているのは、スーパーの人でしょうか? それとも、農家さんでしょうか?

実は、そのどちらでもない(ことが多い)んです。

多くの場合、野菜の値段が決まるのは、早朝の「卸売市場(おろしうりしじょう)」です。

  1. 全国の農家さんから、たくさんのキャベツが市場に集まってきます。
  2. スーパーや八百屋さんなど、「キャベツを買いたい人」も集まります。
  3. そして、「競り(せり)」というオークションが始まります。
  4. 「このキャベツ、買いたい人〜!」
  5. 「はーい!」「はーい!」
  6. 買いたい人(需要)が多ければ値段は上がり、売りたいキャベツ(供給)が多すぎれば値段は下がります。

つまり、キャベツの値段は、この「買いたい人」と「売りたい量」のバランスで、毎日決まっているんです。

98円と298円を生み出す「2つの理由」

「じゃあ、どうして昨日と今日で『売りたい量』が変わるの?」

それこそが、今回の最大のナゾですよね。

その理由は、主に2つあります。

1. 理由その①:お天気と「畑の事情」(供給量)

キャベツは、私たちと同じように、とてもデリケートです。

  • 雨が多すぎると… 病気になったり、根っこがうまく育たなかったりします。
  • 台風が来ると… 葉が傷ついたり、倒されてしまったりします。
  • 暑すぎたり、寒すぎたりすると… 元気に大きく育ちません。

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つまり、天候が悪いと、収穫できるキャベツの量(=供給)がガクンと減ってしまいます。

市場に集まるキャベツの数が少ないのに、「買いたい人」はいつも通りいる。

その結果、「競り」で値段が上がってしまうのです。これが「298円の日」の正体です。

逆に、お天気に恵まれて、キャベツがすくすく育ちすぎると「豊作」になります。

市場にキャベツが溢れるほど集まるのに、「買いたい人」の数はいつも通り。

その結果、「競り」で値段が下がります。これが「98円の日」の正体。農家さんにとっては、少し困った事態かもしれません。

2. 理由その②:産地の「お引越し」シーズン(産地リレー)

私たちは一年中キャベツを食べていますが、同じ場所で一年中作っているわけではありません。

  • 冬〜春: 暖かい場所(例:愛知県や千葉県)のキャベツ
  • 夏〜秋: 涼しい場所(例:群馬県や長野県)のキャベツ

こんな風に、季節に合わせて産地がバトンタッチしていくことを「産地リレー」と呼びます。

このバトンタッチの時期(春の終わりなど)に、もし両方の産地が天候不順になってしまうと…市場に届くキャベツが一度に減ってしまい、値段が急に高くなることがあるんです。

今日から気軽にできるポイント

「理由は分かったけど、やっぱり高いのは困る!」

そうですよね。でも、この仕組みを知った私たちは、もう値段に振り回されるだけではありません。

今日から気軽にできる、3つのポイントをご紹介します。

ポイント①:「値段」を“お天気ニュース”として読んでみる

  • キャベツが298円の日。「ああ、今、日本のどこかの畑が先月の台風で大変だったんだな…」と、値段の裏側にある「畑の物語」を想像してみましょう。
  • 98円の日は、「わぁ、豊作だ!農家さん、ありがとう!」と感謝してみる。買い物のイライラが、少しだけ社会とつながる面白さに変わるかもしれません。

ポイント②:「今週の底値ヒーロー」を探検しよう

  • キャベツが高い日に、無理して買う必要はありません。
  • 「キャベツがお休みなら、今週の主役は誰だ?」と、親子でスーパーを探検するゲームをしてみましょう。
  • 値段が安定している「もやし」や「きのこ類」、あるいはその日たまたま安い「白菜」や「レタス」かもしれません。その日の「底値ヒーロー」を見つけて、献立を考えるのも楽しいですよ。

ポイント③:「98円の日」は、未来への仕送りデー

  • キャベツが安くて新鮮な「98円の日」は、自然からのボーナスです。
  • そんな日は、少し多めに買って、使いやすい大きさにざく切りにして、冷凍保存(ストック)しちゃいましょう!
  • 炒め物やスープに凍ったまま使えるので、「298円の日」の家計を助けてくれる、「未来の自分への仕送り」になりますよ。

スーパーは、生きた「経済」の教室

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野菜の値段が変わるのは、家計にとっては大変なこと。でもそれは、私たちの食卓が、遠くの畑の「お天気」や、市場の「経済のルール」と、しっかり繋がっている証拠でもあります。

値札の数字にイライラする代わりに、「今日はどんなニュースが隠れてるかな?」と眺めてみる。

そう思うだけで、いつものスーパーが、親子で社会を学べるワクワクする「教室」に変わっていくはずです。

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