コミュニティ 2025年11月29日 読了時間: 7分

「無添加」を選べば、本当に安全なの?スーパーの”正解探し”に疲れたときの、親子のための“ほどよい選択” のヒント

uno mao
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株式会社COLBIO 編集者・ディレクター
北海道を拠点に、イベント企画・運営、編集者として活動中。
「無添加」を選べば、本当に安全なの?スーパーの”正解探し”に疲れたときの、親子のための“ほどよい選択” のヒント

スーパーの棚に並ぶ、「無添加」「保存料不使用」「着色料フリー」という文字。

子どもの口に入るものだから、できるだけ安全なものを選びたい。そう思って手を伸ばすけれど、ふと不安になりませんか?

「無添加じゃない方は、じゃあ危険なの?」 「こっちは『保存料不使用』だけど、こっちは『無添加』。何が違うんだろう?」 「少し値段は高いけれど、その価値は本当にあるのかな…」

考えれば考えるほど、分からなくなる。 毎日の買い物で、まるでテストの「正解」を探し続けているようで…。


その感覚、とってもよく分かります。なんだか、疲れちゃいますよね。

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この記事は、その「正解探し」から一度だけ、ちょっとだけ降りてみるための、親子のための〈社会科見学〉です。「ダメ!」か「OK!」かの二択ではなく、「これって、なんだろう?」と世界を面白がるための、小さな冒険に出かけましょう。


そもそも、「添加物」は何のためにいるの?

私たちはつい、「添加物=悪者」というイメージを持ってしまいがちです。でも、彼らがそもそも、なぜ食品に入っているのか、その「お仕事」を考えたことはあるでしょうか。

実は、彼らの多くは、私たちの食生活の「困った」を解決するために生まれた、“お助けマン”なんです。

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  • お仕事①:食中毒から「守る」(保存料など) ハムやソーセージが、腐らずに美味しく食べられるのはなぜでしょう。それは、食中毒の原因になる菌が増えるのを、保存料が防いでくれているからです。これは、食べ物を「安全」に保つためのお仕事です。
  • お仕事②:美味しく「形づくる」(凝固剤・乳化剤など) お豆腐が滑らかに固まるのは、「にがり」という添加物(凝固剤)のおかげ。アイスクリームがクリーミーなのも、水と油を仲良くさせてくれる「乳化剤」が頑張っているから。食感や楽しさを作るお仕事です。
  • お仕事③:美味しさを「保つ」(酸化防止剤など) ペットボトルのお茶の色が、いつまでもきれいな緑色なのはなぜでしょう。それは、ビタミンC(酸化防止剤)が、色がくすんでしまうのを防いでいるから。美味しさや見た目を保つお仕事です。

もちろん、中には「本当にこれは必要かな?」と思うものもあります。でも、多くの添加物は、私たちの食生活を安全に、豊かに、便利にするために、ちゃんとした理由(お仕事)を持ってそこにいるのです。


「安全」って、どうやって決まるの?

「お仕事があるのは分かったけど、それでもやっぱり、体への影響が心配…」

そうですよね。その「心配」に応えるために、食品添加物には国による厳格な「安全ルール」が決められています。

そのルールの中心にあるのが、「ADI(一日摂取許容量)」という考え方です。 なんだか難しそうですが、すごく簡単に言うと、こんな感じです。

  1. 科学者が、動物実験などで「これ以上食べたら、もしかしたら影響が出るかも?」という量を調べます。
  2. そして、その量をさらに「100分の1」にした、ものすごーく少ない量を「安全なライン」として設定します。
  3. この「100分の1」の量は、「人間が、毎日、一生食べ続けても、たぶん大丈夫でしょう」と決められた、とっても慎重なラインです。

私たちがスーパーで買う食品に入っている添加物の量は、このADIのラインをはるかに下回るように、厳しく管理されています。


「無添加」のラベルを、どう読むか?

「じゃあ、国のルールがあるなら、『無添加』って書いてあるのは、どういうこと?」

ここが、私たちが一番混乱してしまうポイントかもしれません。 「無添加」と書かれていると、私たちはつい「無添加じゃない方よりも、こっちの方が《安全》で《健康的》だ」と思ってしまいがちです。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

  • 落とし穴①:別のものが「多い」かも? 例えば、風味を良くするための添加物(調味料)を使っていない代わりに、「お塩」や「お砂糖」をたくさん使って味を調えているかもしれません。それは、本当に「健康的」でしょうか?
  • 落とし穴②:かえって「危ない」かも? 「保存料不使用」のハムは、菌が増えやすいかもしれません。それはつまり、「開けたらすぐに食べきらないと、食中毒のリスクが高まる」ということです。

「無添加」とは、あくまで「特定の(あるいは全ての)添加物を使っていませんよ」という「食品メーカーの選択(こだわり)」を示す表示の一つです。

それは、「安全」を保証する絶対的なマークというよりは、「こういう作り方をしていますよ」という“自己紹介”のようなもの。そして、その「無添加」を選ぶことは、私たちの「こういう暮らしがしたい」という“意思表示”の一つなのです。


「敵か、味方か」から降りてみるヒント

「正解」を探して疲れてしまったら、完璧を目指すのはお休みして、「今日から気軽にできるポイント」を試してみませんか。 それは、添加物を「敵か味方か」で判断するのをやめて、「なんで、この子はここにいるんだろう?」と好奇心を持って眺めてみることです。


ポイント:親子で「裏のラベル」探検隊

  1. 買い物のとき、一つだけ、商品の「裏のラベル(原材料名)」を見てみましょう。
  2. 原材料と添加物は、「/(スラッシュ)」で区切られていることが多いです。
  3. スラッシュの後ろに書いてある「お助けマン」の名前を、一つだけ読んでみましょう。 (例:「ビタミンC」「クエン酸」「トレハロース」)
  4. 「この子は、どんなお仕事をしてるんだろうね?」と、親子で想像してみる。

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目的は、全部を暗記することではありません。 「怖いもの」として避けるのではなく、「理

由があってここにいるんだな」と知ること。ただそれだけで、私たちの心は少しだけ軽くなるはずです。

「無添加」を選ぶ日があってもいい。 忙しい日に、添加物という“お助けマン”の力を借りる日があっても、もちろんいい。

大切なのは、ラベルの文字に振り回されるのではなく、私たちの家族にとっての「おいしい」や「安心」を、私たち自身が選んで決めることです。

食卓も、スーパーの棚も、ワクワクする社会科見学の教室です。 さあ、探検の続きに出かけましょう。


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